Lektion 18 形容詞の格変化

形容詞の格語尾

ドイツ語では名詞の前に置かれた形容詞には必ず語尾(=格語尾)がつきます。この語尾には,形容詞が修飾する名詞の性・数(男性か,中性か,女性か,複数か)と格(1格か,4格か,3格か,2格か),および形容詞の前に冠詞類があるかどうかによって3つのパターンがありますが,基本原則は1つです。

基本原則:文中に名詞があれば,その名詞の性・数・格を明示しなければならない。

この原則を頭に入れた上で,3つのパターンを1つずつ見ていきましょう。 教科書S.44の表を見ながら以下の説明を読んで下さい。

1) 定冠詞(類)+形容詞+名詞の場合(教科書S.44の上の表を参照)

定冠詞およびdieser(英 this),welcher(英 which)のように定冠詞とほぼ同じ変化をする定冠詞類は,性・数・格を示す完全な語尾を持っています(→教科書S.18)。したがって,形容詞の前に定冠詞または定冠詞類があれば,その定冠詞(類)によって名詞の性・数・格が既に示されているので,形容詞の方は,性・数・格を示す語尾をつける必要はありません。そこで形容詞には –eまたは –enという形だけの語尾(=弱語尾)をつけます。弱語尾の大部分は –enですが,男性1格,中性1・4格,女性1・4格は –eになります。

Sie kauft das blaue Kleid.
 彼女はその青いワンピースを買う。

Wir reisen mit dem neuen Zug.
 私たちはその新しい列車で旅行する。

★性・数・格を示す語尾を「強語尾」,形だけの語尾を「弱語尾」といいます。上の例文では青字が強語尾,下線をつけた部分が弱語尾です。

2) 不定冠詞(類)+形容詞+名詞の場合(教科書S.44の上の表を参照)

不定冠詞と不定冠詞類(=mein,dein,Ihrなどの所有冠詞と否定冠詞kein)は,定冠詞(類)と異なり,男性1格,中性1・4格の2か所で,性・数・格を示す語尾が欠けています(→教科書S.44の上の表の△印)。 したがって,そこでは形容詞に性・数・格を示す強語尾をつける必要があります。

教科書S.44の上の表で確認してみましょう。まずは男性1格です。定冠詞類dieserには「男性 1格」を示す –er という語尾がついていますが,不定冠詞類のmeinには,この語尾がありません。そこでdieserについていたのと同じ –erという語尾を形容詞につけて「男性1格」であることを明示します。次に中性1・4格を見ましょう。定冠詞類diesesについている「中性1・4格」の語尾 –esが,不定冠詞類のmeinにはありませんね。したがってdiesesと同じ –esという語尾を形容詞につけて「中性1・4格」であることを明示します。この2か所以外は定冠詞類の場合と同じです。

Er trägt ein weißes Hemd.
 彼は白いシャツを着ている。

3) 形容詞+名詞の場合(教科書S.44の下の表を参照)

最後は形容詞の前に冠詞がない場合です。性・数・格を示してくれる冠詞がないので,形容詞自身が性・数・格を示す必要があります。したがって形容詞には定冠詞類と同じ(性・数・格を明示する)強語尾がつきます。

名詞には普通は冠詞がつきます。冠詞がつかないのは,数えられない名詞か,不特定の複数の場合です。数えられない名詞は頻繁に出てくるわけではありませんが,Leute(人々)のように複数形しかない名詞や,ほとんどいつも複数で使われるSchuhe(靴:単数形のSchuhは靴の片一方)は,よく出てくるので注意して下さい。これらが不特定の場合(=単数だったら不定冠詞をつける場合)は無冠詞になるので,形容詞の語尾は教科書S.44の下の表のようになります。

Er trinkt kaltes Bier.
 彼は冷たいビールを飲む。(中性4格)

Viele Leute arbeiten hier.
 たくさんの人がここで働いている。(複数1格)

Sie kauft schwarze Schuhe.
 彼女は黒い靴を買う。(複数4格)

★2格は無冠詞で用いられることはほとんどないので省略しています。