比較級と最上級
比較級は原級(=形容詞・副詞の基本形)に –er,最上級は –st をつけて作ります。1音節の語はたいていウムラウトします。英語では2音節以上の長い形容詞や副詞は more,mostで比較級・最上級を作りますが,ドイツ語にはこの形はありません。どんなに長くても –er,–stで比較級・最上級にします。
不規則変化する形容詞・副詞
不規則変化するのは次の6つだけです。
原級 比較級 最上級
gut 良い besser best
groß 大きい größer größt
viel 多い mehr meist
hoch 高い höher höchst
nah 近い näher nächst
gern 好んで lieber liebst
比較級の述語的用法
2つの物の比較には比較級を用います。「…よりも」はals …で表現します。
Mein VW ist viel billiger als sein Mercedes.
僕のフォルクスワーゲンは彼のベンツよりずっと安い。< billig 安い
★比較級の強調にはvielを使います。sehrは使えません。英語でもveryではなく,muchを使いますね。
最上級の述語的用法
3つ以上の物の中で「一番…だ」という場合には最上級を使います。ただし最上級は「am …sten」という形で使われます。
Die Blume ist am schönsten.
その花が一番美しい。
★最上級は「am …sten」という形の他に「定冠詞 …ste」という形もあります。上の例文の場合だと
Die Blume ist die schönste.
となります。
この文では主語のdie Blumeが女性名詞なので die schönsteになっていますが,この形式を使う場合は主語の名詞の性に合わせて定冠詞を使い分ける必要があります。
a) Der Tisch ist der schönste.そのテーブルが一番美しい。
b) Das Haus ist das schönste. その家が一番美しい。
a文は主語のder Tischが男性名詞なので最上級につく定冠詞はder,b文はdas Hausが中性名詞なので最上級につく定冠詞がdasになっていますが,この2つの文を「am …sten」を使って書き換えると
a’) Der Tisch ist am schönsten.
b’) Das Haus ist am schönsten.
となります。つまり名詞の性に関係なくいつでも「am …sten」が使えます。ですから最上級を述語用法で使う場合は「am …sten」という形がおすすめです。なお,副詞の最上級は「am …sten」という形しかありません。
比較級・最上級の付加語的用法
形容詞は比較級・最上級になってもやっぱり形容詞なので,名詞の前に置かれた場合は,原級の時と同じ格語尾(→教科書S.44)がつきます。
ein kleineres Auto より小さい車 < ein kleines Auto
das kleinste Auto 一番小さい車 < das kleine Auto
★青字が比較級・最上級の語尾,赤字が格語尾です。
★viel(多い)の比較級 mehr(より多い)とwenig(少ない)の比較級weniger(より少ない)の2語だけは,名詞の前に置かれた場合も語尾がつきません。
Japan hat mehr Einwohner als Deutschland.
日本はドイツより人口が多い。
同等比較
「…と同じくらい…だ」という表現は,so+原級+wieという形になります。英語のas+原級+asですね。
Monika ist so alt wie Stefan.
モニカはシュテファンと同い年だ。
★nichtで否定すると「〜ほど…ではない」になります。
Diese Uhr ist nicht so teuer wie seine Uhr.
この時計は彼の時計ほどは高くない。