受動文はwerden+過去分詞
英語の受動文は「be+過去分詞」ですが,ドイツ語の受動文は受動の助動詞 werden の定形と過去分詞で作ります。werdenの人称変化は教科書のS.55を見て下さい。werden はsprechen型の不規則動詞ですが,3人称単数の人称語尾 –tがなかったり,duの所では語幹のdがなくなったりとsprechen型の動詞よりも更に不規則なので注意して下さい。
受動文の語順
受動文では過去分詞は文末に置かれ,werden の定形と枠構造を作ります。
Hier wird eine neue U-Bahn gebaut.
ここに新しい地下鉄が建設される。
★受動文の過去形は,受動の助動詞 werden を過去形にします。また,疑問文は主語と受動の助動詞を倒置して作ります。過去形の作り方,疑問文の作り方ともに英語と同じですね。
Wurden die Häuser schon renoviert?
その家はもう改装されたのですか?
★否定のnichtは過去分詞の前に置きます。ここは英語と違うところです。英語のように受動の助動詞とnotが一体化したisn’tとかweren’tのような形はありません。
Das Buch wurde schließlich nicht veröffentlicht.
その本は結局出版されなかった。
受動文の行為者はvon+3格で示す
受動文を使うのは,行為者が不明な場合や,あえて言う必要のない場合が多いのですが,受動文の行為者を特に明示したいときは「von+3格」で行為者を示します。英語の「by+目的格」に当たると考えて下さい。
Der Roman wurde von Spielberg verfilmt.
その小説はスピルバーグによって映画化された。
Von wem wurde der Computer erfunden?
コンピューターは誰によって発明されたのですか?
話法の助動詞+受動文
受動文が話法の助動詞と共に用いられる場合は,話法の助動詞の定形を2番目に置き,受動の助動詞 werden は不定形にして文末 (本動詞の過去分詞の後)に置きます。
Das Auto wird noch heute repariert.
その車は今日中に修理される。
という受動文に話法の助動詞müssenをつけ加えると
Das Auto muss noch heute repariert werden.
その車は今日中に修理されねばならない。
になります。元の文の定形(=人称変化した形)wirdが,不定形werdenになって,過去分詞の後に置かれていることを確認して下さい。
状態受動(sein-受動)
werden+過去分詞で作る受動文は「…される」という動作を表わすので「動作受動」と呼ばれます。それに対して「…されている(状態にある)」を表わす受動文を「状態受動」と呼び,seinの定形と過去分詞で作ります。通常の受動文と同じく過去分詞は文末に置かれ,枠構造になります。
Das Museum wird um 19 Uhr geschlossen. 動作受動
その博物館は19時に閉館する。(閉められる)
Das Museum ist wegen Renovierung geschlossen. 状態受動
その博物館は改修のため閉まっている。(閉められた状態にある)
もっとも他動詞の過去分詞はもともと受け身の意味を持っていますし,(英語の過去分詞と同様に)ドイツ語の過去分詞も形容詞として使えるので,上記の「状態受動」の文もschließen(閉める)の過去分詞geschlossenが形容詞として使われてseinの補語になっていると考えた方がわかりやすいかもしれません。つまり「状態受動」とは「過去分詞が形容詞として使われているだけ」とも言えます。