関係代名詞の格変化
関係代名詞は性・数・格に応じて格変化します。定冠詞の格変化とほぼ同じなので,定冠詞の格変化をきちんと覚えていれば,あとは教科書S.50の表の網掛け部分を確認するだけで大丈夫です。
関係代名詞の性・数・格
関係代名詞の性・数は,先行詞の性・数と一致し,格は関係文の中で関係代名詞が果たす文法的役割によって決まります。文法的役割とは,その関係代名詞が関係文の中で主語になっているのか,目的語なのか,それとも所有を示しているのかということです。教科書S.50の例文では,先行詞 der Schweizer が男性名詞なので,関係代名詞も男性になります。関係文になる前の元の文 Ich kenne ihn seit 10 Jahren. の ihn が先行詞 der Schweizer と同じものを指しているので,この ihn を関係代名詞にします。この ihn は動詞 kennen の4格目的語ですから関係代名詞の格は4格です。したがって, 男性4格の関係代名詞 den を使うことになります。
英語は名詞に性別がありませんが,先行詞が人間か物かによって関係代名詞 whoとwhichを使い分けます。関係代名詞には主格,所有格,目的格の区別があり,どの格になるかは,関係文の中で関係代名詞が果たす文法的役割(主語なのか,目的語なのか,所有を示すのか)によって決まります。
つまり関係文の中で関係代名詞が果たす役割によって関係代名詞の格が決まるのは英語もドイツ語も同じです。英語では先行詞が人間か物かによってどの関係代名詞(whoかwhich)を使うかが決まるのに対して,ドイツ語では先行詞の文法上の性に合わせて関係代名詞が選ばれるのです。
関係文の語順
関係文は副文なので動詞は文末です。関係文の先頭に置かれた関係代名詞と文末の動詞の定形で枠構造を作ります。主文と関係文はコンマで区切ります。
それでは1格,4格,3格,2格の関係代名詞が出てくる例文を見てみましょう。
《男性1格》
Der Junge, der dort singt, ist mein Neffe. < Er singt dort.
あそこで歌っている男の子は私の甥です。
《中性4格》
Wo ist das Buch, das ich gestern gekauft habe? < Ich habe es gestern gekauft.
僕が昨日買った買った本はどこですか?
《男性3格》
Herr Meyer, mit dem ich gerade gesprochen habe, kommt aus Bonn.
< Ich habe gerade mit ihm gesprochen.
私が今ちょうど話をしていたマイヤーさんは,ボンの出身です。
★関係代名詞が前置詞の目的語になっている場合は,前置詞を関係代名詞の前に置きます。 mitは3格と結びつく前置詞なので,関係代名詞は3格になります。
《女性2格》
Ich kenne eine Deutsche, deren Vater Politiker ist. < Ihr Vater ist Politiker.
私には政治家の父親を持つドイツ人女性の知り合いがいます。
★Vaterは男性名詞なのに関係代名詞derenは女性の2格であることに注意して下さい。 関係代名詞の性は先行詞によって決まります。この文の先行詞はeine Deutsche(ドイツ人女性)という女性名詞なので,関係代名詞は女性になります。Vaterの性は関係ありません。
先行詞を含む関係代名詞
wer「…する人」とwas「…するもの,こと」は,先行詞を含む関係代名詞です。それぞれ英語のwho(whoever)とwhat(whatever)に当たります。
Wer Chemie studiert, soll dieses Buch lesen. 化学を学ぶ人はこの本を読むべきだ。
Du sollst machen, was du willst. 君はやりたいことをやるべきだ。
★ werは先行詞をとることはありませんが,wasは das, alles, etwas, nichtsなどの不定代名詞を先行詞にすることがあります。
Das ist alles, was ich weiß. これが私の知っているすべてです。