接続法第2式とは
接続法第2式は,英語の仮定法に相当するもので,非現実の仮定を表わすのに用いられます。「第2式」というからには「第1式」もあるのですが,ここでは「第2式」についてのみ説明します。「第1式」については教科書S.59の「文法の補足」を見て下さい。
接続法第2式の基本形
規則動詞の場合は過去基本形がそのまま「接続法第2式の基本形」になります。不規則動詞の場合は過去基本形に –eをつけて「接続法第2式の基本形」を作りますが,ウムラウトできる母音があれば,必ずウムラウトさせます。
規則動詞の接2基本形=過去基本形
不規則動詞の接2基本形=過去基本形+e(語幹の母音はウムラウト)
接続法第2式の人称変化
接続法第2式の基本形に過去人称変化と同じ語尾(→教科書S.36)をつけます。例外や不規則変化はありません。
ところで,上に書いたように規則動詞の接続法第2式の基本形は過去基本形と同じです,それに過去人称変化と同じ語尾をつけるので,規則動詞は過去人称変化と接続法第2式の人称変化が全く同じになってしまって区別できません。区別できなければ接続法第2式を使う意味がないので,規則動詞の場合は動詞自体を接続法第2式にするのではなく,以下に見るように「würde+不定形」という形を使います。würdeは英語のwouldに当たるものです。英語の場合も規則動詞の仮定法過去は単なる過去形と同じ形になるので,普通は「would+原形」を使います。
接続法第2式の用法(1) -非現実話法-
①現在の事実に反する仮定(英語の仮定法過去)
現在の事実と反対の仮定を表わす場合は「もし…ならば」という前提部と「…だろうに」という結論部の両方を接続法第2式にします。
[基本構文]
Wenn+主語+……+接続法第2式, würde+主語+……+不定形
Wenn ich Geld hätte, würde ich ein Haus kaufen.
もしお金があれば家を買うのだが。(→お金がないから買えない。)
Wenn ich Zeit hätte, würde ich ins Konzert gehen.
時間があればコンサートに行くのだが。(→時間がないから行けない。)
★gehenは不規則動詞で,「接続法第2式≠過去形」なので,「würde+不定形」ではなく,gehenの接続法第2式を使った
Wenn ich Zeit hätte, ginge ich ins Konzert.
という形も可能です。ただし「würde+不定形」の方がよく使われますし,こちらの方が簡単なので,「würde+不定形」をおすすめします。
②過去の事実に反する仮定(英語の仮定法過去完了)
過去の事実と反対の仮定を表わす場合は「もし…だったら」という前提部と「…だったのに」という結論部の両方を接続法第2式の完了形にします。接続法第2式の完了形はhaben/seinの接続法第2式と本動詞の過去分詞で作ります。完了の助動詞haben/seinの使い分けは,現在完了の場合と同じです。
[基本構文]
Wenn+主語+……+過去分詞+haben/seinの接続法第2式,
haben/seinの接続法第2式+主語+……+過去分詞
Wenn ich Geld gehabt hätte, hätte ich ein Haus gekauft.
もしお金があったら家を買っていたのに。(→お金がなかったから買えなかった。)
Wenn ich Zeit gehabt hätte, wäre ich ins Konzert gegangen.
時間があったらコンサートに行ったのに。(→時間がなかったから行けなかった。)
☞ gehenは「移動」なので,seinで完了形を作ります。
接続法第2式の用法(2) -外交的接続法-
結論部だけを用いた「外交的(=丁寧)な表現」です。「もしご迷惑でなかったら…」のような仮定を含んだ表現なので,丁寧な言い方になります。英語でも「Can you …?」よりも仮定法の「Could you …?」の方がより丁寧になるのと同様に,ドイツ語でも直説法の「Können Sie …?」よりも接続法第2式の「Könnten Sie …?」の方が丁寧な言い方です。